つくつくにっし

花より男子の二次小説です。司×つくです。他のカップリングも送り出します。クスッ、ウフッと、とにかく心が元気に。をモットーに書いていきます。あくまでも勝手な妄想の世界ですのでご了承ください

柊の唄 2 (初恋と嫉妬 番外編)

九条家は伯爵の称号を与えられていた旧華族の出身の名家。

現在の当主の楓の父は伯爵の称号を得ていた祖父の莫大な財産を元に事業を行っていた。

その一つが反物や生地を扱う卸の仕事。

現在は、衣服の大量生産化に伴い安い生地が出回るようになってきた。

良質な生地を扱い、オーダーメイドだけの生産を行う業者だけを取引先としているため、収支のバランスが取れなくなってきている。

細々と行っているのであれば、それだけでも十分なのだろうが。



外から見れば華やかな旧家の家。


わたくしに云わせれば只の張りぼて。


女である事がこんなにも恨めしいと思ったことはない。


四歳年上の兄は大学で商業の勉強を積みこの春に卒業し、父の仕事を手伝っている。



朝の皆で揃っての食事の際に、お父様とお兄様が此れからの方向性について会話をしていた。


「お父様、大量生産に踏み切るなら、デザイナーさんを若手にして…」

「口を慎みなさい。お父様のお考えがあるのですよ」

お母様がわたくしの言葉を遮る。


何故?

わたくしもこの九条家の一員ですわよね?

一つの案としてお話をさせてもらうのが、そんなにいけないのですか?


お兄様がやれやれと困った顔をする。


「お父様~、聞いてくださる?大学にこの度アメリカから帰国した方がいらっしゃってね。その方は大富豪なんですのよ!と~ってもハンサムで…」


妹のさつきが、少し不穏になった空気を瞬時に変える。


同じ英徳に通っているらしい。


その人にお会いしたいが為に大学に出向いたと言っている。


そんな下らない事が何になるのか…。


お父様とお母様が笑ってさつきを見ている。


わたくしだけが異空間にいるようだ…。


「……でなく、英徳に通っていればな。なぁ、楓」

「……」


「楓、聞こえてないのか?お前の兄が話しかけているだろう?!」


お父様の少し大きな声でハッとした。


「申し訳ありません。楓さんは大学での試験が間際でして、少し睡眠が不足しているのでしょう。そうですわね」


お母様が即座にお父様に話しかけ、綺麗に微笑む。


そして、何事も無かったように自身の椀を手に取る。


何故なの?

そんな理由なんて全くのデタラメ。

ですのに、お父様もお兄様も納得した表情を見せている。


女である事がイヤになる…。


「おねえ様が、フェリセ女学校でなければもっと接点が持てたのにーー!わたし此れから毎日でも大学の校舎まで出向いて、彼にアピールするつもりよ!」

「キンキンと朝からうるさいぞ、さつき」


お兄様が困った顔をする。


先程の顔とはまるで違う。

優しさに溢れている。


わたくしには…。




「お父様、もし彼がわたしを選ぶのならその方と結婚してもよろしくて?」

「さつきはとんだ娘になったものだ。さつきの花言葉とは正反対になったものだ。なぁ」


嬉しそうに自身の妻を見つめる。


何故?


「さつきの花言葉は"節制"ですわよね。心得ておりますわ。ですから、わたしは友人たちがお付き合いをされている方とは、自分からは決してお話しませんのよ」


欲望に溺れることなく、度を超す事のないように慎むこと。

ちゃんと心得ておりますわ。

さつきがそう言って可愛らしく笑う。


お父様もお兄様も"恐い女になったものだ"そう言って笑う。


「さつきが女学校に行くべきだったのでは?」

「楓さんもさつきさんを少し見習わないとですわね?」

「楓は自身で探せないだろうから、お父様がお探しになってくれるからな」

「そういったお話が無いわけではないのですよ。お父様が首を縦に振らないだけで」

「楓は元が良いのだから、そのように振る舞えばどんな男でもきっと振り向くだろうに」


お兄様とお母様の会話を聞いたわたくしはどうすればよろしいのですか?


その中に"わたし"は存在してないのです。










太陽が暖かい光を注ぐ日に、お父様が誕生パーティーをすると言ってわたくしを見る。

家族のものが期待を込めた眼でわたくしを見る。

妹のさつきだけが少し悲しそうな顔をする。





女としての成功は良い妻となり、良い母となることだけなのか?


毎朝礼拝堂で祈りを捧げる。


わたくしは中学になるのを機にフェリセ女学校に入学した。


しんちゃんと毎年見ていた礼拝堂に毎日通いたくてお母様に初めて反抗した。


ありのままでいることが、どんなに難しいか。


自分を分かってくれる人はいないのか。


悲しくて、悲しくて仕方がない。


遠い所に行ったあの人を思う。






楓の花言葉は"大切な思い出"

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