つくつくにっし

花より男子の二次小説です。司×つくです。他のカップリングも送り出します。クスッ、ウフッと、とにかく心が元気に。をモットーに書いていきます。あくまでも勝手な妄想の世界ですのでご了承ください

柊の唄 4 (初恋と嫉妬 番外編)

英徳学園に在籍している生徒、関係者で、知らない者は恐らくいない。


類い稀な美貌と高貴な血筋。


『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』

この諺がピタリと填まる人物。


九条家の次女、さつきが友人たちを引き連れて、構内を正門に向かい歩いて行く。


歩く度に、男女の性別とは関係なく、振り向かれ、決まって憧憬の念を抱かせるのだ。


大きなイチョウの木の下に人だかりが出来ていた。


「さつきさん、もしかして、道明寺様では?」

友人の一人が、さつきに声をかける。



えぇ、そのように思いますわ。

ですけど、わたしから声を掛ける?

そんな事はあってはなりません。




何故って?




駆け引きが必要なのですから。



昨日、わざと彼の視界に入るように、友人と馬鹿な話をして快活に笑ってみせた。


その甲斐もあって、彼に気付いて貰えたのだ。


彼はわたしの顔を見ると、凄く驚いた顔をしてジッとこちらを見ていた。


視線に気付かぬフリをして、その時はその場を立ち去っている。


お馴染みの手を使う事にしましょうか。


どんなお話を提供しようかと思案し始めると、人垣がスッと割れる。

長い脚を優雅に此方に進めてくる貴公子のような人。

少し癖のある髪を後ろにかき揚げて、そのまま、うなじの辺りを少し擦る。



「初めまして」


そう言うと、吸い込まれるような瞳で此方を見て、スッと右手を差し出してきた。



周りは一瞬、皆が息を止めているのではないかと思うほどに、静粛が訪れた。


暫くすると、わたしと道明寺さんの周りには人垣が出来ていて、あちらこちらから溜め息が聞こえてきた。


「僕は、道明寺信(まこと)というものです」


優しい瞳。

けれども、警戒心は非常に強いのだろう。

少しばかり頭を下げるも、視線はわたしから離そうとはしなかった。

安心感だけを与えるような雰囲気ではない。

それと同様に緊張感も与えてくる。

不思議な人だ。


「初めまして。九条さつきと申します」


ゆっくりと頭を下げた。


お互いに微笑みながら、話が始まる。

「制服を着ていると云うことは高校生で間違いないのかな?」


「えぇ、そうですわね」


信は一瞬、目を細める。

そして、

「今日、僕はこれから少し時間があるのだけど、どこかでクリームソーダでもどうですか?」


プッ


クスクス


周りの取り巻いている人達も、一気に緊張が解けて、碎けた。


何?


思わず吹き出しちゃったじゃない。


「なぁ、コウちゃん。俺って、変な事を言ったか?」


隣でニコリともしないで、信さんの隣にたっている男性にコソコソと話しかけると、

「信様、普通は"お茶しませんか?"と言うのです」

ニコリともしないで、答えている。


思わず、こっちが愛想笑いをして見せた。


すると、能面のようだった顔が、少しだけ穏やかになったようだった。


「お茶より、クリームソーダの方が食べたいと思うだろ?だからだよ。何だよ…。違うのか?最近はプリンアラモードなのか?」


信は真面目な顔をして、コウちゃんと呼ばれている能面のような男性に質問している。


「最近の女子の流行りの食べ物ではないのですよ…。そこは…」

能面コウちゃんが答える。




可笑しいでしょ!!

何?

この人たち!

周りの人達も笑ってはいけないと、口を手で押さえて堪えている。


それなのに、当の二人はまだ食べ物について、議論している。(フルーツポンチとか、あんみつとか)


能面コウちゃんがこちらに向く。


「九条さん、これからのご予定は?」


「申し訳ございません。わたくし、今日はピアノのレッスンがありますの」


わたくしの言葉を聞いて、信が少し顔に影を見せた。


「残念です。ゆっくりとお話をしたいと思いまして。また、声をかけて良いですか?」


信が訪ねてきた。


「わたくしのお時間と合えばよろしいのですけど…」


わざと曖昧に答えた。


「僕が、時間があれば高校に出向きます」

そう言って、笑った。


「お待ちしてますね」


では、失礼いたします。

そう言って、お辞儀をして、その場を離れる。


少しばかり歩いた所で、友人たちが興奮を押さえられないとばかりに、わたしの手を取り、

凄いわ。

流石ね。

さつきさんは、やはり特別ね。

お似合いだわ。

溜め息しか出てこないわ。

美しすぎて、直視出来ない程だわ。

お付き合いを申し込むつもりかしら?

どうしましょ?そうであって欲しいわ。

さつきさんがお相手になるなら、誰もがお認めになるでしょ?



いろんな事を矢継ぎ早に言ってくる。


「何をおっしゃっているの?信さんは大学生ですわよ。わたしを相手にするものですか」


皆にはそう言っておく。


ピアノのレッスンも今日はない。


デートの誘いも、一回でOKを出す馬鹿がいる?











学校内ではわたしと信さんがお付き合いをしていると噂が流れ出す。


違いますから。

そう言って、軽く否定しておく。

自然と笑みが溢れる。

でも、実際にこのまま結婚まで進んでも良いと思った。

そんな風に感じたことは今まではなかった。








彼は宣言通り、高校の校舎まで足を運んで来た。


今まで声を掛けてきた高校の男子生徒たちは、ピタリと声を掛けて来なくなった。


二回目のデートの誘いにはOKを出した。


OKを出すには十分な場所だった。


お昼にテラスで休んでいる時だったからだ。


皆が、自然と私たちに注目する。


「今日は、大丈夫ですわよ」


「良かった~。僕も今日は会社に顔を出さなくて良いので、助かります」

そう言って笑うと、後ろを向き、

「コウちゃん、何処のお店にしようか。表参道にある…」


信が能面コウちゃんの方を向いて話しかけながら、テラスを出ていく。





「信さん」

少し大きな声を出す。

彼らがこちらを向く。

「また、後で」

そう言って、軽く手を挙げる。


「放課後に迎えに行きますから~」

信がこちらに手を振り返す。










おねえ様に勝つわ。



『あの九条楓様の妹君よ』



いつもそう言われてきた。



後で産まれたばかりに、わたしの方が下に見られている。


勉学、書道、華道、茶道、裁縫にピアノ、日舞まで、ありとあらゆるものの全てを、完璧にこなす姉の存在の、妬ましいこと。


違う学園に去っても尚、姉の話がこの学園内でされると嬉しくて仕方ない反面、何とも言えない嫉妬心に駆られた。




喫茶店での会話の最中。


今までに無いほどの姉への嫉妬心に、自分が狂うのではないかと思った。




家族の誰一人として、わたしの心の中を知らない。

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