つくつくにっし

花より男子の二次小説です。司×つくです。他のカップリングも送り出します。クスッ、ウフッと、とにかく心が元気に。をモットーに書いていきます。あくまでも勝手な妄想の世界ですのでご了承ください

彼女と仕事 14

秘書の後ろから華奢な女性がひょこっと顔を出した。

顔はまだあどけなさを残しており、ハッとするような美人ではないが可愛らしく和むような顔立ち。薄く化粧が施されていて、控えめに微笑む姿は誰もが好感を抱くであろう雰囲気を醸し出していた。

「道明寺さん、こんにちは…」


華奢な女性がこのフロアに入って来た瞬間から、室内の寒々しい空気が一変し温かみを帯びてくる。


「お、お前…」

司が声を発すると同時に、

「遅くなってしまいました。株式会社ドットの牧野です。本日は新機能搭載の携帯電話の広告戦略についてのお話を進めているとのお話を今朝、楓社長より伺いました」

次の瞬間、司は楓をもの凄い勢いで睨んで、周りの人々は一瞬でまた身を固くする。

どんな嵐が吹くのかとジッと辺りを観察しているようだ。

その時、華奢な女性が司をジッと見つめたまま司と楓の側まで近寄り、

「まだ、会議は終わっていないですよね?私からもこの広告戦略についての補足をさせていただきたいんですけど、よろしいですか?道明寺支社長」

「な?!さっきから何言って…」

「よろしいですね?」

あの冷眼と呼ばれる御曹司、道明寺司を物腰柔らかい声で華奢な若い女性が押さえ込んでいる。

女性嫌いで有名な彼をだ。

楓社長を見ると、口角がほんの少し上がっているように見える。

ここに集まった企業戦士たちはこの3人を固唾を飲んで見守った。





「まず、道明寺支社長のCMへの起用ですが…」

つくしが話始めると司が直ぐさま話を被せてきた。

「お前、まさか了解するって…イッ…タ…」

何やら小競り合いが始まり、小声で言い争う。

"小指をわざと狙って踏んだのか?"

"うるさいわね!少し黙っててよ。仕事で来たのよ。仕事で"

"何の仕事だよ?"

つくしは司を睨み付ける。

"あんたの好きにはさせないから。いい?好き勝手にしようだなんて冗談じゃないわ!自分の撒いた種ぐらいしっかりと刈り取りなさいよ!"

いきなりキレ始めたつくしに、司は全く訳が解らず唖然とした。

つくしはフンッと反対に顔を向ける。

司はそれを見て、ドカッと椅子に座った。

楓は二人の姿を見た後にゆっくりと椅子に腰を下ろした。フーッと息を吐く。


今度はハッキリとフロア全体に聞こえるようにつくしは声を発した。

「広告戦略に関しまして、道明寺支社長だけでなくもとよりインパクトとを、と皆さんお考えではありませんか?」

その言葉にフロア全体がざわつく。


新人のアイドルとの共演。


少し胸元を開けた衣装。


女性に囲まれたハーレム。


な、何か凄いこと言い始めてきたけど…

皆さん、そういうのがお好きなの?

隣の道明寺を見ると、眉間に皺がより般若のようになってきた…

かなり我慢の限界かな…


「道明寺支社長のご友人たちは皆さんもご存じあげていることと思いますが、彼らは中学、高校とアイドル並みのファンがおります。ここに来る以前に彼らの秘書に話を通してもらいました。世間で言う"F4"と呼ばれている彼らが揃って広告塔になる。しかも、CMや各紙に掲載されるときに発生する契約金などは発生しません」

つくしの言葉にフロアがどよめきに包まれる。

その時西田が、つくしに近づき何やら耳打ちする。

つくしは驚いて顔を上げた。

「申し訳ありません。3人いらっしゃる内のお1人と未だに連絡が取れないとのこと。暫くお待ち下さい」

つくしは携帯電話を持ち、フロアから一旦席を外した。

フロアの奥に用具などを納めているエリアがある。

つくしは中に入ると鍵を掛けた。


どこに行っちゃんたんだろ?

心配しながら番号を押してみる。

どこかに行くなら携帯電話持っていくよね?


暫くコールする。


"もしもし、どうした?急用でなければ、メールで…"

「良かった~。さっきから西門さんのお邸に電話いれてるけど、御弟子さんたちがどちらに行かれたのか姿が見えないって言ってって」

"あぁ、ちょっと蔵の中にいてな。携帯も部屋に置いてから蔵に入ったからな。弟子たちがバタバタしてたのはそれでか…"

「じゃあ、良かったわ。今これから時間あるわね?御弟子さんたちから聞いてるもの」

"何だよ"

「こっちも急いでいるから、単刀直入に言うね。携帯電話の広告戦略はF4で行うことが決まりました。てか、決めました」

"はあぁー?俺もか?!!何でだよ、やるなら司だけでいいだろが?!"

「男ならつべこべ言ってんじゃないわよ!!

あんたらのせいで、こっちはかかなくてもいい恥を散々かかされたんだからね!!」

"何だよ、恥って…"

「あんなの公開プレーよ!公開プレー!!って、何言わすの!!兎に角、道明寺だけでなくあんたらも一緒に広告塔になる。いろんなスポンサーがらみで仕事だって貰うんでしょ?親友のために男なら一肌脱ぎなさいよね!

類と美作さんもこっちに来るから、頼んだわよー!!!」


電話を切る。

よし、あともう一つ。


つくしは扉を開けて、フロアに戻る。


「皆さん、お待たせしました」


お母様と西田さんは相変わらずの鉄仮面。

道明寺と秘書の東野さんは俯いている。

道明寺なんか額に手を当てている。

心配なんだ……。

企業戦士たちはというと不安、困惑といった顔をしている人や、こちらをチラチラ見てこそこそと話し出すものまでいる。


あっー!

そうだよ。

そうだよね。

本当にF3を呼べるか不安だよね。

小娘が、呼べるのかってね。

ウンウン。

しかも契約金が要らないなんてね。

アイドル頼んだら億の金が動くもんね。

そうそう。


「皆さん、私英徳大学にまだ在籍しておりまして、こちらの道明寺支社長や他のお三方の高校からのただの後輩になります。キチンと連絡先も知れているものです。ご安心下さい。連絡が取れましたので、もう暫くするとこちらに到着するかと思われます」

「ただの後輩ってなん…」

つくしの言葉に司が反応するが、急かさずつくしが司を睨んで応戦する。

「そ・れ・とですね。クリスマス前に予約を取りましてですね…」

何やら鉛筆を持ち紙に何やら書いている。

「ちょっとお待ち下さい…。今朝楓社長より…お話があって…準備が…整って…おらず…。」

5、6分はかかっている。

その間、少し。もう少しお待ち下さいと何度か繰り返していた。

「出来た!!」

つくしがパッと顔を上げた。

「西田さん、出来ました。スミマセンこれをスクリーンに写せますか?」

西田はつくしから紙を受け取るとそのままビデオカメラに収めた。

暫くすると会議室の巨大スクリーンに可愛らしい4人の男の子の絵が写し出された。


くるくるテンパの子。

サラサラ髪で目元が優しい子。

黒髪で前髪を分けている子。

少しロン毛にしている子。


司は目を点にした。

つくしを見る。

つくしはかなりのドヤ顔だ。


「これをマスコットにして携帯の購入予約者に限定プレゼントするんです。期間を決めて限定プレミアを付けます。1台に付き1個として行います」

周りを見る。

1人が挙手をする。

どうぞ、とつくしが会釈をして発言を促す。

「これは、その、道明寺さんたちをモチーフしたものですか?」

「そうです。ミニF4ですね。大きさは3センチから5センチほどを予定してます」

また、別の人が挙手をする。

「もう少し大きなぬいぐるみではダメなのですか?」

周りの人たちも大きく息を頷く。

「ダメなんですよ。私が来る前に携帯電話の改善点が報告に上がっているように思うのですが」

一同を見渡す。皆の顔を見ると一応に少し頷く。

「キーホルダーですよ。皆さんも小学生の時にランドセルに沢山付けた思い出ってないですか?」

一呼吸を置いて

「携帯電話に付けるんです。皆さん同じようなモノを持つようになるでしょ?これから、この携帯電話は売れるんですから!」

つくしはニッコリ微笑んだ。

「ここに上がってくるエレベーターの中で道明寺さんの秘書の方から、穴を作れても凄く小さく紐状のモノしか通せないほどになるかも、との報告を受けました。キーホルダーと言うよりストラップですね。なので商品自体小さくなります」

「別でぬいぐるみも作成して、限定で販売してもいいのでは」

この声に、周りもその方が売れるなどと言い始めた。

「それはダメです。彼らは不必要に自身の分身と判るもので、抱きしめたりできるくらいの大きさのモノは拒否するはずです。ですよね?道明寺支社長?」

司は少し青筋を浮かべている。

「3センチだ。それ以上は認めねー。予約販売のみの限定だからな」


司はつくしを見た。

凄く嬉しそうだ。

しゃーねーな…。


西田が司に近づき耳打ちする。


司がフロア全体に届くよう声を張り上げた。

「この日本の将来をも変えるであろうプロジェクトに賛同協力してくださる3人が到着しました」










扉の向こう側にF3が笑って立っていた。

「強引だね」

「貸しだぞ」

「やってくれるわ」








うん!

ありがとう。

ありがとう。

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