つくつくにっし

花より男子の二次小説です。司×つくです。他のカップリングも送り出します。クスッ、ウフッと、とにかく心が元気に。をモットーに書いていきます。あくまでも勝手な妄想の世界ですのでご了承ください

願い事 7

一の鳥居を潜り石畳の参道を歩く。


司とつくしはしっかりと手を繋いでいた。


右手には遥か昔に万葉集で詠まれた時と同じく、神鹿が数十頭飼われており、天然記念物とされている10数種類の日本鶏の舎が備えられている。


左手には二の鳥居があり、石畳の十数段の階段となっている。

石畳の参道の両脇は菊祭りの準備のために、屋根付きの簡素な柱だけの小屋が拝殿まで立ち並んでいる。


11月1日から24日まで、奉納や品評会のための菊が立ち並ぶ。

境内には一本の幹から千輪近くもの菊を咲かせ、円形状に咲かせたものや、小菊の盆栽や円錐形に咲かせたもの等4000点が出品される。




「七五三の着物を着た子供達可愛いね。七五三の撮影なのかな?カメラマンさんが親御さんたちと並んでいるのを写してたね」

「ああ。子供好きか?」

「うん、多分好きな方かな」

「そうか」

「うん」


七五三の着物を着た子供とその家族と思われる集団があちらこちらで見られるのだ。

みんな笑顔で幸せに満ち溢れている。


「菊祭りになっと混むっけ、10月にお詣りに来る家族が多いんだろ?さっきから何2人して見つめ合ってるや」

「ひえっ?!おばあちゃん、いつの間に…」

気付けばおばあちゃんはあたしと道明寺の真下にいて、こっちを見上げている。

「牧野の婆さん、タマみてーだな…」

道明寺は仰け反っている。

「タマ?おらは猫じゃねーろ」

少しプンプンして、パパたちの所に行って話している。


人の名前だと言われたみたいで、少し口を尖らせている。

「ほら、お前も照れ隠しする時にあーゆう表情するんだ」

道明寺が片方の眉を上げて口角を少し上げた。


もうっ。

そう言ってバシッと背中を叩く。

道明寺が声を出して笑っている。


特徴的な髪型を隠してはいるが、サングラスは外している。


「田舎だと騒がれなくていいな。お前とこうして手を繋いでても文句言われねーし」


でも、すれ違う女性は皆、ポーとしてるけど。

石段を踏み外しそうな人もいるし。


でも、道明寺が言うとおり、自然に手を繋いでいた。

普通に寄り添って歩いている。


いつもこうしていたい。

ずっとこうしていたい。



さっきおばあちゃんが言っていた石は2つあった。

道明寺が石を持ち上げる。

おばあちゃんが道明寺に聞いた。

『素直に答えてくれや。どんならった?』

『最初の石は見た目よりも思ったよりも重くて、正直焦ったわ。けど、持ち上げる時は楽に上げたぞ。牧野の婆さん』


そうか、そうかと頷き、

『次の石はどうらったや?』

『次か?何だか知んねーけど、軽く持ち上がったぞ』

その言葉にホホっ~と笑った。

『何を願ったか分からんろも、何事も少しは苦労した方が有り難みが分かるってもんだ。中々良い結果らったんじゃねーか?』

そう言って笑ってる。


心配で、道明寺に願い事を聞くと、おばあちゃんは、神に願ったことを無闇に問いただすんじゃないよと言った。

『つくし、大丈夫らっけ、心配すんな』

おばあちゃんはそれだけを繰り返した。


おばあちゃんがこそっと、

『石が重くて持たんねぇー時は願いは叶わね。軽く感じて持ち上げれれば願いは叶う。

どうせ、つくしの事を願ったんだろ?』

そう言って笑って、あたしの手を取り、甲を軽く撫でた。


道明寺にあたしも持ってみようかと言ったら、持とうとすんな。俺がいい結果を出しているからと言って止めさせられた。

見た目よりもかなり重いらしい。

持ち上げれねーなんて事があったら洒落になんねーとか、ブツブツ言ってるし。


プププっ。



石畳を歩いていると、向こうから花嫁行列がこちらに歩いて来る。

花嫁さんは綿帽子で顔が全て見えないが、凄く穏やかな表情をしているのがよく分かる。

声をかけられる度に、2人が顔を合わせているのだ。


素直におめでとうございますと言って、頭を下げた。


結婚式するくらいだもん、何でカップルが別れるなんて伝説があるんだろ?

神社の人に御参りしたら聞いてみよ。


良いものが沢山見れてテンションも上がる。

道明寺の手を取り、横顔をじぃーと見る。

「なんだよ?」

「ううん。何でもない。見たかっただけ」

変なヤツ、そう言って道明寺は笑った。


石畳の階段を上がった。


随神門で軽く礼をして拝殿に足を踏み入れる。


拝殿を仰ぎ見る。


弥彦山がびっくりするくらいに近くにある。


「ねぇちゃん、折角だから拝殿の中でお祓いしてもらおうよ」


それもそうだ。

こんな機会滅多にないもんね。


お賽銭はお賽銭でキチンと5円用意してる。


お賽銭箱にも入れて、普通に御参りもしたい。

参拝者が多い。順番待ち。

やっぱりセンター狙い。


パパとおばあちゃんが弥彦様は"二礼四拍手一礼"だからねと言っている。


「道明寺、ハイ」

5円玉を渡す。

「何で5円?」

「えっ?!知らないの?ご縁と5円。読みが同じでしょ?」

首を傾げる道明寺。

そうゆう事を知らないとこも、あたしは可愛いと思ってしまう。


右側に社務所がある。

七五三の参拝の家族が備え付けられている机に向かって祈祷して頂く内容を書き込んでいる。


あたしも前の人たちに習って用紙を取る。

住所と名前を書く。

家内安全、学業成就等々16種類の願事が紙に書いてある。思うものに丸をつけるらしい。


どれにしようかな?

先ずは、商売繁昌。社運隆昌。


良縁成就。

とりあえず、これは大丈夫かな?


心願成就。

これは大事だ。


御祈祷料にも丸をつけるんだね。

5千円からになってる。

多いと10万円?!。


出す人いるのかな?


いや、いましたよ。ここに。

あたしが5千円に丸を付けたら、横からすっと腕が伸びてきて、ぴっぴっと縦線を付けて、10万円の欄に丸を付けてくれました。


後ろには齋藤さんが息を切らして、アタッシュケースを持ってきてる。


いつの間に!


アタッシュケースから札束(例の札束!)を2束取り出し、受付に出す。


受付に座っている神仕の人たち、目をこれでもかと見開いて、道明寺の顔と交互に何回も見ている。


あぁ、あたしも昨日は同じ事をしたね。

わかりますよ。

ウンウン。


何で2束って聞いたら、道明寺もいつの間にか書いていたみたい。


広い控え室があって、何組か一度に呼ばれて拝殿に通されるらしい。

七五三の家族連れ。厄払いの夫婦など様々な人達がテーブルを囲って、寛いで待っている。


「うちのダイニングぐれーだな」

そう言って、長い足を伸ばす男をおばあちゃんが目を見開いて見ている。


そうだね。

ウンウン。

この広さのダイニングって何?って思うよね。

おばあちゃんが耳に小指を入れてほじほじしてる。







広い拝殿に通される。

右側の扉の縁に石油関連の採掘の写真等が掲げられている。

やはり、石油関連の神として崇めているようだ。そういえば、道明寺が持った石の近くに石油蒸留釜があったよ。

「落ち着くなこの広さも。俺の部屋ぐれーか」

ボソッと言ったけど、回りの人はへっ?て顔してる。

この拝殿だって、畳30畳よりは広いですよ。

おばあちゃんがまた耳をほじほじした。


後ろを見ると賽銭箱にお金を投げている風景が見下ろせる。

「何か、偉くなった気分になるね」

パパとママがボソッと言って、進が大きく頷く。

皆が、こっちを見て御参りするんだよ!!

(当たり前なんだけどさ!!)


神仕の人に最前列に座るよう言われる。

正座をして、御祈祷の開始を待つ。


道明寺はこうゆう時に座る形も何だか様になる。

手を軽く握り腿に乗せているだけなのに、神殿の神秘的な雰囲気と合わさって、映画のワンシーンのようだ。



神主さんが神に祈りを捧げる。

巫女さんたちが3人出て来て、神楽楽器の調べに合わせて舞を披露し始める。

かなりの長さだった。


後でわかったことだけど、御祈祷料で舞の種類が変わるらしい。

多分、あれが最上級。

一緒にいた他の家族が得したって言ってた。


「御名前をお呼びした方から順に玉串を納めてください」

神主さんが声をかける。

「道明寺之司、株式会社道明寺ホールディングス代表……」

神主さんが読み上げると、後ろにいる参拝者が少しざわついた。


巫女さんから玉串を授かった道明寺は一段高くなっている神殿に上がろうとしない。

神主さんが声をかけると、

「牧野と一緒にさせてくれ」

そう言って受け取ったまま立っている。

神主さんが少し頷き、あたしの方を向いた。

道明寺は横で静かに座ってこっちを見ている。

「牧野之つくし、東京都……商売繁昌、社運隆昌、心願成就……」

神主さんが御払いをして下さる間、あたしはずっとお願いをしていた。


巫女さんから玉串を授かる。

道明寺と一緒に神殿にあがり、揃って玉串を奉納した。


その後で家族が皆揃って神殿に上がった。






社務所にいる神仕の人に、カップルで行っては行けないと云われる所以を聞いた。


いろんな説があるらしい。


この付近には弥彦温泉、岩室温泉、観音寺温泉と温泉宿があり、芸者遊びをしたい男らが、"弥彦の神は女性だから、焼きもちを焼いて別れさせられる"と言って遠ざけていたのもそう云われる1つだと。


何だか、西門さんや美作さんみたいな人のせいだ!!


だけど、もうひとつの事柄を聞いたとき、あたしは頬から自然に涙がこぼれ落ちた。


急いで、社務所から出て、弥彦山を仰ぎ見る。


道明寺が慌てて追って来て、あたしの腕を掴み、そのまま抱きしめた。










大丈夫だ。

俺は必ずお前の元に帰ってくる。

誓ってもいい。

心配するな。

何度も、何度も繰り返した。



あたしは声を上げて道明寺に泣きついていた。

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