つくつくにっし

花より男子の二次小説です。司×つくです。他のカップリングも送り出します。クスッ、ウフッと、とにかく心が元気に。をモットーに書いていきます。あくまでも勝手な妄想の世界ですのでご了承ください

願い事 8

目の前にくるみ大福。味の染み込んだ、こんにゃくとちくわぶ。ところてん。

あたしの目の前には、食べ物が並んでいる。

一の鳥居を出ると、お土産屋さんが立ち並ぶ。

右端にあった和菓子屋さんで大福と笹団子を購入し、お土産屋さんの軒下でこんにゃく等々を買ってきてくれた。


近くのベンチで小腹を満たしている。


まあ、あれだ。

泣く子供に飴を渡して、機嫌を取る手法らしい。

あたしはと云うと、まんまとそのみんなの思惑に嵌まっているようで、少し落ち着いてきた。


「旨いか?」

「あっ、う…うん」


目が合っては反らしている。

顔が紅くなってるから!

道明寺まで、照れたらあたしなんてどうすればいいのよ…。


頭の中で、およそ20分前の出来事を客観的に見てみる。


泣いて走ってくる女。

追って来て、抱き締める男。


あははははは。

はーーーーっ。


そりゃ、周りにドラマの撮影?

何々?映画?ってなるわな。

私服のSPさんたちが参拝者を近づけないようにあたし達をガードしてた。

多分、ADさんか何かの人だと思うよね。


進が気を効かせて、ハイッ!カット!!

お二人ともこちらへ~って、誘導されてなきゃ今頃…。



「よし、山でも登って神が眠っている所に行ってくっか?牧野、行って来ようぜ。ちっとは気も晴れるんだろ?」


道明寺、ありがとう。

うん、行ってみたかった。


パパは、子供の頃は毎年弥彦山を学校で登山していたらしいけど、頂上へは行かず、登って右側の多宝山の方でいつも休憩してたらしい。

大勢の子供が休憩するにはそちらの方が都合がよかったようだ。

なので、パパは登山はすれども(小学校6年間)

いつも9合目までだった。

今日、初めて知ったみたい。

そんな事ある?

同級生のほとんどがきっとそうだ。って言ってるし。

ホントかな~?

おばあちゃんは、聞いたことあるけど、行ったことないとか。


「いっつも見てっと以外と見落とす事が多い。後で出来る。いつでも行ける。そう思ってしまってたわ」

「牧野の婆さんも、行って見ようぜ」

道明寺がおばあちゃんを誘ってる。


「歩かんばらっけ、おらは行かねー。車ん中で待ってるすけ。行ってこいてば。ロープウェイで行ってこい」

「なら、婆さんも行けんだろ?」

「ロープウェイ乗り場迄ならバスも出てるけど、乗り場に長げ階段があっけ、おらは行かね」

「婆さん、俺の体がクタクタになんねーと寝れそうもねーからおぶってやるよ」

そう道明寺が言うと、

「いいんだか?道明寺さん?疲れても知らんろ」

そう言って、おばあちゃんはうんと腰を伸ばしてから道明寺に屈めと催促して、道明寺に耳打ちした。

道明寺は凄く驚いた顔をしてる。

それから、

「婆さん、俺様の体力を甘く見てもらっちゃ困る」

ニヤッと不敵な笑みを見せた。









「道明寺、汗かいた?」


きついウェイブ掛かっている髪が少し弛くなっている。


つくしはハンドタオルを司に渡した。


ロープウェイを使って山を一気に登って来た。

標高634メートル。

ロープウェイで5分ほど。


山肌はまだ紅葉には早いようで、赤や黄色という色ではないが、やはり夏とは違い少し蒼さがくすんでいて秋色となっている。

弥彦神社に併設されている弥彦公園内にある紅葉谷はすでにライトアップされていてるそうだ。


ロープウェイを降りて左側に御神廟がある山頂へと道が続いている。


二人は整備されている山道を山頂を目指して歩いている。

木々が覆っているところはヒヤッとするが、太陽がもろに当たるところは流石にまだ暑い。

「こんにちは~」

行き交う親子連れやカップルとすれ違う度に元気よく挨拶を交わすつくし。


「東京の高級ブランド店にいるよりこうゆう所の方が断然似合うな。お前」

笑いながら顔を傾ける。

こっちを見るな~!


「あんた、何で…疲れて…ない訳?仕事は…デスク…ワーク…でしょ?」

挨拶以外でしゃべらせないでよ。結構しんどいんですけど。

あたしの顔なんか多分凄いことになっているよ。

それに、何でか山を歩いている姿も様になってる男。

額に光る汗すらも綺麗に見えるって何で?


「つくし~、道明寺さ~ん」

目線を上に向けるとママが手を振っている。


「つくし、山頂はもうすぐだから、頑張れーーー。あたしもおばあちゃんみたいに、おんぶしてもらいた~い」

声を出して笑っている。


おばあちゃんは齋藤さんにおんぶしてもらっていた。

少し顔が紅くなってる。


「千恵子さん、恥ずかしっけ、やめれてば」

齋藤さんの背中に顔を埋めている。


おばあちゃんも女の人だったんだ。

(そりゃそうだけど)


「遅かったね。ロープウェイ混んでた?」

進が聞いてきた。

「乗り場迄歩いたら、結構な距離だった。ロープウェイも、混んでたし」


「ねぇちゃん、俺ら今度はロープウェイで降りるからさ」

「つくし、山を下りたらそのまま寺泊に行ってご飯にするよ。ここまで来たら、道明寺さんを弥彦、寺泊ツアーに招待しようよ」

パパが張り切っている。


山道だからそんなに道幅が広い訳ではない。

立ち止まって話していたら、降りて来る人達が見える。

「道明寺さん、つくしを頼みます」

パパが頭を下げる。

ママも並んで頭を下げている。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

丁寧に道明寺が頭を下げた。


何?これから結婚するみたいな挨拶?

あたしが何だろうって、顔をしているとおばあちゃんが、

「いつでも出来る。なんて思っちゃダメなんだわ。つくし」

そう言って、おぶられてあたしより高い目線から言われた。


「司様、お車ありがとうございました。ロープウェイ乗り場の先にスカイラインの駐車場がございます」

もう一人のSPさんが頭を下げて道明寺に車の鍵を渡した。


行きはあたしと道明寺の2人きり。

(SPさんは前後にいるけど、山を登っている時点で、全く気になってない。前後に他の登山者がいるから)


パパたちは車で頂上迄来たのだ。


最初、皆で行くと思ったら、これからはちょっと別行動でって、ママが言い始めて今に至る。


神社からロープウェイに続く道も2人で手を繋いでいた。


今も道明寺は手を離そうとしない。

ペットボトルで水分補給するときだけだ。手が離れるのは。









山頂は太陽が燦々と暖かい光を放っていた。


山の下に雲があるのも見える。


右側を見ると日本海が広がり、遠くに佐渡ヶ島が見える。

真下に位置する海岸線に沿って家が立ち並んでいるのが野積と呼ばれる地域だ。

左側を見ると広大な越後平野が見渡せる。


御神廟は白い石垣で囲って建立されている。

御神と妃神は今も尚こうしてご自身が開拓した地域をここから見守っていられるのだ。



「よっしゃ、神に宣戦布告だ」

そう言って、こちらを見て口角をあげる。


スッと息を吸うと、

「俺は生きているうちに惚れてる女を迎えに行く。生涯を共に歩いていく。必ずだ!神なら嫉妬なんかしねーで祝福しろ!」

「ちょっ、ちょっと、道明寺?神様になんて事を…」

オロオロして、周りに頭を下げる。


「あっ?そうだろが。太古の人間が自身の仕事と引き換えに大事な女を置いて行ったんだろ?俺はどっちも手に入れる。死んでから崇められてたまるか。生きているうちに結果を出してやるよ」


なんて、傍若無人な男だろう。

この場所で叫べるとは…。

神をも恐れない男と云われるだけはある。

いや、世間から現代の男神と呼ばれているか。


クスクス。


「何だよ?」


「うん、あんまりにもストレートすぎて神様も怒る気にもならないかなってさ」











遥か昔、今から凡そ2400年前のお話。


天照大御神(アマテラスオオミカミ)の曾孫にあたる天香山命(アメノカゴヤマノミコト) は大和朝廷の名を受けてこの越後の広大な大地の開拓を託された。

最初に訪れたのは海岸線に沿った野積の地域。

製塩の方法、網を使った漁猟の仕方、酒造の方法をもたらした。

野積地域が平安となると、越後の開拓と、安泰の命を承ける。

妃である熟穂屋姫命(ウマシホヤヒメノミコト)を荒れて、蛮族がいる大地に連れては行けず、野積の地域に留まり治めるようにと言われた。

愛しい妃神との別れの際の追慕する姿に皆が涙を流したと言われている。

妃神も愛しい御神を追って山へ入り、木こりに御神の居どころをお聞きになると、御神に口止めされていた木こりは、たちまち石になったと云われている。

その後御二人は山を隔てて海側と平野側で生涯を閉じたとされている。

悲愛なために現代に歪んだ形で語られる事があるのだろうと。

けれども、御二人のお互いを想い合うお姿に、御崩御された後にこの両方の地を見下ろせる場所に御霊を納めたのだろうと。

妃神が先に崩御されたのか、4月に妃神の為の舞楽、13舞が奏される。

その後6代に渡りこの越後に稲作と酒造の術を指導されたとある。

御神の御子孫の社は境内にある。1代、3代4代それ以降の御子孫が奉られている。

2代目の社は境外の遠くの地域にあるのだ。

もしかしたら1代と2代は御兄弟神なのかもしれないと。


年に一度だけでもお会いできてたのだろうか。


共白髪になるまでご一緒にお過ごしになれなかった御二人の神。








神になんてならなくていい


あなたがそばにいてくれたら

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