つくつくにっし

花より男子の二次小説です。司×つくです。他のカップリングも送り出します。クスッ、ウフッと、とにかく心が元気に。をモットーに書いていきます。あくまでも勝手な妄想の世界ですのでご了承ください

彼女と仕事 13

つくしは道明寺ホールディングの正面玄関口に立っている。

先程車から降りるときに自身の頬を叩き、

"私は株式会社DooT(ドット)の社長"

"私は株式会社DooTの社長"

と繰り返し呟き、自身をそのように変貌させるために言い聞かせていた。

以前に楓が言ってた言葉をつくしなりに実践しようとしているのだ。


"Don't fake it till you make it."

"Fake it till you become it"

本物になるまでそのフリを続けなさい。完璧に成りきれるように。そしてそれがいつしか己のものとして身に付くのですと。


「よし!」

気合いを入れる。

守衛の森田さん、川島さんに会釈をする。

ここに何度か足を運ぶうちに会話するようになったのだ。

「こんにちは。宜しくお願いします」

森田、川島はニコニコ微笑んだ。

「今日は大事な仕事ですか?いやに気合いが入っていますね?」

「はい。私の今後の立ち位置をも決定付けされかねない大事な仕事です。行って参ります」

再度つくしは二人に会釈して、道明寺ホールディングスの社内に足を踏み入れた。



広いエントランス。

床は鏡のように磨き上げられており、壁には

畳三畳ほどの大きな絵画が飾られている。

つくしは真っ直ぐに受付へと足を運んだ。

「おはようございます。株式会社ドットの牧野です。支社長の道明寺さんにお会いしたいのですが」

軽く会釈をして微笑み掛ける。

受付嬢が、会釈を返して、

「牧野様ですね。受けたまっております。奥の役員用のエレベーターをご利用下さい」

そう良い終えると司の第二秘書の東野が役員エレベーターから降りてこちらにやって来た。


はあぁー、第一関門突破しました。


少し前までなら受付で揉めてた事あったからなー。


あたしも大人になったもんだ。


つくしは東野に軽く会釈をして

「おはようございます。すみません。遅くなりました」

「とんでもありませんお身体は大丈夫ですか?」


そう話しているうちにエレベーターの扉が開いた。

東野はつくしをエレベータ内へと誘導する。


なぬっ?!!

これってどっちの意味で言ったの?!!

と、とりあえず、

「こほっ、こほっ、少し寒くなりましたものね?今は大丈夫ですよ」

はあぁー、またこんな小細工させてー!

道明寺めー!!

「私が今朝、牧野様の会社に出向いたんですよ。西田室長から牧野様が体調が優れないのでそちらに向かうようにと連絡が朝一番にあったのです」

「そ、そうだったのですね。お手数お掛けしました」

「とんでもありません。牧野様の存在が我々をも救う事に繋がるのですから。お身体を大事にしてください」


あはははははは。

大事にねー?


大事にします。

これからはキチンと管理します。

スミマセン。


エレベーターが会議室のある階に到着した。

降りると大きなガラス一面から太陽の光が降り注ぎ無機質な周囲を暖かい空間へと導いている。


広い廊下を歩く。

幾つかの会議室がある。

一番フロアの広い会議室へと向かう。


会議室の前に立つ。

重厚な扉の為なのか中から何の音も漏れてこない。

「穏やかに進行しているんですね…?」

つくしの言葉に秘書の東野は苦笑した。

「いえ、先程迄は司様の怒号が響いておりました」

そういうと東野は無線機に向かって到着の知らせをした。


や、やっぱり…。

でも今は落ち着いて来たってこと?

今がチャンスってことね?


扉が開けられる。

東野はつくしの後ろに控えている。

つくしは扉を開けてくれた楓の秘書に隠れるようにして中に入る。

秘書の背中から顔をひょこっと出すとこっちを驚いた顔で見ている道明寺とバッチリ目が合った。


会議室の幾人もの目が一斉につくしに向けられる。





スーっと息を吸った。








戦闘開始だ。









よし、行くか!!

彼女と仕事 12

今のつくしの頭の中は道明寺で一杯。

当の本人が聞いたら天国への階段を超特急で駆け上がるのは間違いない。

いつもなら車に揺られるとついついウトウトしてしまうのだが、今日の頭の中は凄い速さでいろんな シミュレーション やら言い訳の仕方。説得の仕方などがグルグル回って"ああでもない、こうでもない"と一人ブツブツと呟いているのだった。











ここは中世ヨーロッパのある王国。

ツクシーヌはこの国の王妃に呼び出されていた。

「王妃様、お呼びでしょうか?」

「ツクシーヌ、お前も知っていると思うがツッカーサ王子が隣国との貿易を勝ち取ってきた。そこまでは良いのだ。この昨今農作物の成育もこの悪天候の影響で不作なのは知ってるな?下々の生活、特に貧困になればなるほど苦しくなる。

農作物などの天候に左右されない事業をと王子が先頭を切って進めたのだが、なにぶん莫大な費用が掛かりすぎたのだ」

「そうでしたか…。それで何か私にご相談があるのですね。王妃」

「この事業の成功には我が国に広くこの事業が周知されなければならない。勿論、隣国へも同様にだ。そこで、その周知活動にも王子をと押す声がこの国の参謀たちから上がっている」

「それはっ?!!ツッカーサ王子はこの事はっ?」

「無論、まだ話しておらぬ」

「王子は人々の前に晒されることを深く嫌っております。ただでさえあの美しいお姿に一目会いたいと、近隣諸国の淑女が集まるのです。王子のお心が嵐のようにお荒れになります」

「それで、お前の出番となるのだよ。ツクシーヌ…」

はっ!

ツクシーヌは胸元の広く開いた自身のドレスを見つめた。

「貧しい農民出のお前が王子の唯一の寵愛を受けておるのだ。王子のお心を宥めるのがお前の唯一の仕事なのでは?」

ツクシーヌは王妃に懇願の眼差しを向けた。

「王妃、それだけは…。王子は気性の荒いお方です。王子のお怒りや悲しみを我が身のみで受け続ければこのツクシーヌ、身体が壊れてしまいます!」

ピシャッン!

ツクシーヌの頬の脇を鞭がしなり床を叩き付ける。

「お黙り!!貧乏人のお前をこうして立派な淑女に仕立てているんだ!!お前の体以外で王子の心を柔げられるのかい!王子にも同じ事をしてもらって喜ばせてもらいな!」

ツクシーヌ目掛けて鞭が振り落とされる。

「女王様ー!!!」



って、何で女王様に変わってるの?

てか、そこじゃないでしょ!!


えっ、あたしってそうゆう役目ってこと?!

えっ、何々?!

道明寺グループ一丸でそれを望んでいるって事~??!!!


イヤイヤ、そんな訳は……。



「大番頭さん、お話とは何ですの?」

大番頭西田はここの娘のおつくに頭を下げた。

「へい、お嬢様、実は内の若い者が隣町の協力を得て隣町とを結ぶ街道の整備をすることになったんです。存じあげてましたか?」

「私とてこの家のものです。存じてます」

「その先導を斬ったのが司之助なのです。司之助はお嬢様も知っての通り、この町で名を上げでお嬢様と結婚するつもりでおります」

おつくは頬を染めた。

「ですが、仕事を取るのにいろんな商人やら役人に話を通さねば成らず、ましてこのまま仕事を続けて来年春の完成を待つのはまどろっこしいなどと言って強硬に工事を進めたのです」

「まぁ、そんなに早めて…。それで、何か問題があるのですか?」

「蔵の金を使い込んだのです。資金繰りをしなくてはなりません。そこで、両替屋の女将の楓が大名たちの宴の席に司之助を召せば、手を打つと申し出があったのです」

「嫌です。司之助が他の者に微笑み笑い掛ける姿など見たくなどありません…。それに司之助はそんなに上手く相手の機嫌をとるような真似事が出来ない男です」

「左様です。ですが両替屋の話を飲むしか仕方がございません。お嬢様もし司之助の心が病んできたら…」

「勿論です。この私が彼の心を和らげます。

この体をなげうってでも…」


って、

あ、あれーっ?!!

やっぱり、そうなんの?

何でー?

何でー?


よく、考えろ。

よく、考えろ。


・・・・・。

・・・・・。

「王様の慰みものとして過ごすのだ!!」


……やっぱり。

何でこうなる?!


・・・・・。

・・・・・。

「お代官様ー!!!お止めくださーい!!あれー!!」


……ゼイゼイ。

……昨日、いや、今朝までやり過ぎたから?

ち、違うよね?


「牧野様、大丈夫ですか?あと8分で社に到着します」

バックミラー越しに運転手の渡邉さんと目が合った。

ニッコリと微笑んでいる。

「あ、あたし、何か言ってました?」

「何でそうなるとか、たまに司様のお名前らしき事を譫言のように言ってましたよ」


あはははは。

はぁー。


ウィンドウガラスから外を眺めると道明寺ホールディングの最上階がビルとビルの間から見えてくる。


着いちゃいますよ!

どうする、つくし!

お母様は何か案があればお出しなさいなとだけ言って社にお出かけになったけど。


だいたい、昨日はF3が道明寺を焚き付けたのも悪いんだからねー!!!


んっ?!!

あっ?!!


ふ、ふーん。


つくしは急いで携帯電話を取り出し、アドレスを開く。


「先程は醜態をお見せして申し訳ありませんでした。今、大丈夫ですか?」


「少しでも早めに手を打とうかと思いまして。ご協力をお願いします」











ムホホホホ。

見てなさいよー!!!

カラダだけのオンナになんてなるもんかー!!!

彼女と仕事 11

司は自身の手を見つめて微笑んだり、ウィンドウガラスから対向車を眺めて"良い景色だ"と呟いたりとこの上ないくらいに機嫌が良い。

西田は腕時計を見てから司に目線動かした。

会社に到着するまであと23分。

これから起こりうる事柄を司様に話してから宥めるには少し時間が足りない。

アメリカでの奮闘を走馬灯のように駆け巡らせた後、牧野様に向かう怒りのが少しでも軽減するよう司様に全てをお話しようかとも考えたが、やはり予定通り社で話を聞いていただこう。

だが、この顔はいけない。

少しでもいつものお姿に近づけねば。

「司様、先程楓社長の御車とすれ違われたのをお気付きでしたか?」

「ババァの車と?」

司は途端に真顔になっていく。

「はい」

「邸の方向か?」

「はい。恐らく間もなく邸にお着きになられるのではと思います。今日の記者会見は社長も立ち会われるとのですので」

「チッ!ババァも来んのかよ?!それよか牧野が部屋で寝てんだけど、あのババァ、牧野をイビるような真似しないだろうな…?気が気じゃねぇ…」

「私、司様が社に着きましたら、楓社長の秘書と早急に打ち合わせたい事柄がありますので、今一度邸に戻ります」

「わかった…。秘書と打ち合わせる前に牧野を頼む」

「勿論です」

司様、勿論私は牧野様とお会いになりますよ。すでにタマさんにも話してありますから。

お顔も少しは引き締まりましたね。

後は牧野様が少しでも責めを負うのを軽くしなければ。

「司様、試作の携帯ですがもう改善点が出たとか?キーホルダーを通せれば良いのですか?」

土曜日の飲み会でのひとこまを思い出す。

「あぁ、同じような携帯だから自分だけのオリジナルを作り出したいんだろう?そんな事言ってたしな」

「その他の改良点大丈夫でしょうか?」

「そういえば、アイツさメール見たら"見たよのマーク"があって相手に伝われば良いのにって言ってたぞ」

「わかりました。携帯の機能の改善点ですね」

「司様今回のお仕事での評価で牧野様との結婚が近づきます。くれぐれも午前中の会議は 穏やかにお願いします。よろしいですね」

「会議中何かあんのかよ?」

「楓社長の秘書からのメールで午前中の顔合わせも同席するとの連絡が入りました。もう少しで社に着きます。くれぐれもお二人の評判を落とすような行為には及びませんように」

「何かあるような物言いだな?」

「少し警戒していた方がいつもの司様です。先程までのお顔で社に着きましたら騒ぎになりますよ。マスコミも彷徨いていることですし」

「わかったよ。ババァの話が出たら急に仕事モードになったわ」











「いやー、メインのイメージキャラクターを自ら買って出るとは!!当に道明寺ホールディングを挙げての企画戦略。クリスマス前に出すことで飛躍的な売り上げを期待できますな!!」

「……?!!」

その言葉を受けて別の男性が

「道明寺さんお一人の出演より、女性がいた方がまた華が栄えるというものです。是非とも今売り出し中の新人がいるのですが…」

言い終わらないうちに言葉を発していた男は息を飲み込んだ。

司はまさに一気触発といった緊迫した雰囲気を身体全身から発していた。

目が一瞬で殺気立つものに変わり、一言発すれば、噛み殺されそうな勢いがある。


周りの人は先程迄は何事もなく話が進められていてこの社の長となる道明寺司が割りと穏やかに事を進めていることに安堵し、バブル崩壊後の新たな商品、流通の要となるであろう道筋を話している最中だった。

今回、新機能付きの携帯電話のメディアを使って行われる販売戦略について、テレビCM作成や経済紙からファッション紙に至るまでの戦略に先立ちここ道明寺ホールディングに大手通信会社から役員数名と各雑誌の取締役や役員クラス、またそのスポンサーとなる企業の精鋭が集まっていた。

会も終盤となり時刻は11時を少し回ったところ。


「西田、てめぇ、謀ったな!!!」

「司様、今朝のお話をお忘れではないですね?」

斜め後ろに控えている西田に司が椅子から立ち上がり今にも掴み掛かるような勢い。

たが、西田は顔色ひとつの変えない。

「全部、仕組んでいたのか?何処からだ!」

「今朝のお話をお忘れですか?」

司は西田の返しにいよいよ頭に来たのだろう。

この上ないくらいの殺気。

周りにいる人々は身を小さくして被害を受けるのを必死に避けようとしている。

「てめぇは誰の下で働いてんだ!まだ、ババァの犬なんだな!!」


「ババァの犬とは何ですか?口を慎みなさい。幾つになったのです。ここは仕事場ですよ」

司の怒号が響き渡ると同時に彼の上司であり、母親の道明寺楓が会議室に顔を出した。

「あなたの今後を掛けた仕事なのではなくて?それとも、辛酸を舐めてまでやり遂げようとは思っていないとか?」

「くっそー」

司は苦虫を噛み締める思いで楓を睨み付ける。

「そんな顔で記者会見に臨むつもりじゃないでしょうね?」

親子二人の睨み合いが続いている。

そんな中、楓の秘書が楓にそっと耳打ちした。

「そう、では中に入って貰って」

秘書が頷き、入り口の扉を開けた。

司は扉を注視する。









「道明寺…。こんにちは…」

楓の秘書に隠れてつくしがひょこっと顔を出した。







「はあぁー?」









お前まで、グルなんか?!!