つくつくにっし

花より男子の二次小説です。司×つくです。他のカップリングも送り出します。クスッ、ウフッと、とにかく心が元気に。をモットーに書いていきます。あくまでも勝手な妄想の世界ですのでご了承ください

柊の唄 3 (初恋と嫉妬 番外編)

妹のさつきが食事のテーブルに付くと、決まって男性の話になる。


「さつき、この前話していた帰国子女の方のことなんだが…」


「お父様、聞いて下さる?」


妹のさつきのお喋りは食事中にしてもあまり嫌な顔をされない。


特に最近はお父様が話を熱心に聞いている有り様だ。


わたくしが経済の話をすると、女なのだからそんな事は考えるなと言われる。


アメリカやヨーロッパでは、女性の仕事での進出が目覚ましいと聞く。

何のための女子の教育なのか?

確かに賢明な妻、聡明な母を、と願うのは、残念ながら、わたくしが通う大学でも同じ。


聖書の時間でも、良妻賢母を説く箇所を多く学んでいるように感じる。


レディーファーストの本来の意味は、女性は話し合いの場から早めに退散すること。

進出が目覚ましいヨーロッパの社会でも、当初はそう思っていたのだから、仕方がないと云えば仕方ないのか。




中等部の頃の裁縫の時間が鬱陶しかった。


上手く出来て何になると?



クスッ


クスクス



思わず笑いが込み上げた。





アッハッハッハ


お父様の笑い声で意識がこの場に戻った。


「楓、お前も可笑しいと思うだろ?大学生の成人した男子が、さつきをデートに誘うなんて、あり得ると思うか?困ったものだなぁ」



えっ?


「お父様ったら~。おねえ様はそうは思いませんわよ。ねぇ?」


ええ、思いませんわ。


女子校なのだから、男性など教師だとしても、全く入れなくとも良いと思っているほどです。


中等部の三年の水泳の授業の際に、

『唇が青くなってますよ。寒いですか?』

そう言って、わたくしの肩を触れたときはゾッとした。


その大学生の男も邪な考えしか持たないのでしょ?


ですのに、何故かお父様は、さつきが男性に誘われた事を喜んでいる様子だ。









今日も、さつきは仕切りにお父様に大学生の事を話して聞かせている。


椀ものが冷めていく…。


皆が、身を乗り出して話を聞いている。


「表参道にある喫茶店に入ったんですけど、わたしが座る前にスッと椅子を引いてわたしを先に腰掛けさせたんです!お母様、凄いと思いません?日本の男性は皆揃って、女は後ろに下がっていろ?って、顔をしているでしょ?」

「レディーファーストってヤツか…。日本男子がすんなりとね~?」

「あら、お兄様も練習されるといいわ」

「これ、さつき…」

お母様が笑いながら、さつきを咎める。


長身で、顔も整っていて目元が優しいとか。

アメリカのニューヨークに本社があるとか。

世田谷に広大な土地を買い求めているとか。

住まいの御邸は、それは、それは立派だと。

(国会議事堂くらいはあると?!)




えっ?



そんな豪邸を建てている一族は他にはないはず…。


お父様が、思わず椅子を倒して立ち上がり、目を見開いている。


「あの、財閥の御子息様だっていうのか?さつき?!」


「えっ~?!そうなのですか?その方のお話ですと、お父様がアメリカに進出してから漸く軌道に乗ったと話していられたのですけど…。"まこと様"とおっしゃるのですよ」


お父様は、呆然と立っている。

お母様が倒れた椅子を元に戻してお父様と顔を見合わせる。

二人とも少し紅潮していらっしゃる。


これで九条家も安泰とお父様が呟く。


さつき、よくやったとお話が纏まっていく。





自分達の力で何とかしようとは為さらないの?


力の有るものに娘を差し出すのは容認できる?


娘の知恵を借りて事業をするのは容認できない?






クス


クスクス


可笑しいと思わないのかしら?


お母様もお兄様も。


それとも、やはりわたくしの考え方が可笑しいのかしら?


可笑しくてたまらない。


涙が自然に出る。



わたくしが笑い始めると、お父様は

「誕生会が二週間後に迫ったぞ。楓にも良い縁が訪れるからな」

そうわたくしに言って聞かせた。



自室に戻り、欅で造られた衣装箱を開ける。


中にガラスケースが入っている。


柊で作ったリースが入っているのだ。


柊に触れたくても触れる事はできない。


ガラス越しに指を滑らせた。


何故だかわからないが、涙が止まらなかった。










今日もまた、さつきの例の大学生の話が始まるかと思うと、憂鬱な気持ちになりながら、食卓に座る。


何時もなら、お父様がいても居なくても話始めるのだ。


今日はあの人の話はしてこなかった。


気分よく食べれた。










ここ最近、わたくしを見るさつきの目の鋭いことに気付く。


「どうしたのですか?さつきさん」

わたくしが話しかけると、ハッとした表情を見せて、

「何でもありませんわ…。…おねえ様こそ、最近何か変わった事はありませんか?」



何があるというの?



駅に見慣れないドイツ製の高級車がここ何日か停まっているが、すぐに立ち去っている。



わたくしに関係しているとは思えない。










「楓ーー!!!いるか!!楓ーー!!!」



お父様が大声を張り上げながら帰宅した。




何だろう?



「お父様、わたく…」

言い終わる前に肩を凄い力で捕まれる。





「いいか、よく聞くんだ。


道明寺信さんが、


お前の誕生会に、


出席させてほしいと、


あちらから、


言ってこられたのだ」






ゆっくりと教え込まれるように言い聞かされた。

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